今回は、保護猫ちゃんと里親さんをつなぐ譲渡会情報の番外編として、
2015年12月に完成した「犬猫保護施設 ケルビム・アニマルガーデン」の猫舎を紹介します。
場所は沖縄県中部、うるま市にある農場内ということで、
ちょっと山奥?のイメージでしたが、石川インターからあっというまに到着。
「ケルビムへようこそ」の看板が掲げられた犬舎とドッグランの奥の白い建物が猫舎です。
スタッフの方に声をかけ、二重扉から慎重に中に入ると、
芝生のお庭やウッドデッキのある開放的な空間で、たくさんのネコちゃんがのびのび暮らしていました。
この日はあいにくの天気で、けっこうな寒さにもかかわらず、外に出てるコが多くてびっくり!
猫舎全体は脱走防止の網で覆われていますが、室内と屋外スペースの行き来は自由!
お庭には広めの手作りトイレも(写真右)。快適だにゃ~
ウッドデッキの巨大ネコ団子。
冷たい風が吹いても寒くにゃ~い!
こちらは室内組のにゃんこ。コンテナをリフォームした明るいお部屋です。
キャットウォーク用の棚もたくさん設置されていました。
施設を運営する「NPO法人動物たちを守る会ケルビム」代表の中村吏佐さん(写真左)によると、ここにいるネコちゃんは「保護猫カフェ 猫の城 Nyangusk」(同会運営)から連れてきたコがほとんどで、これまでずっと室内で暮らしてきたこともあり、外に出ることを心底楽しんでいるそうです。
(※「ねこカフェ探訪記」もご覧ください)
そして、さらに驚いたのはネコちゃん達のなつっこさ。
初めてやってきた我々にも警戒する素振りはまったく見せず、
あちこちからすり寄ってきて、抱っこして~といわんばかりの甘えっぷりなのです!
中村さんはじめスタッフの皆さんの懸命な努力により不幸な境遇から救出され、里親さんと出会うまで大切に育てられているネコちゃん達。「外の世界を知るノラちゃんは警戒心も強いけれど、限られた環境の中で暮らすこのコ達は、人と遊ぶことが大好きなんですよ」と中村さん。
掃除中のスタッフの背中に飛び乗ったり、爪切りやブラッシングで日頃から人とのコミュニケーションはバッチリ。なので見学者にも当然のようになつき、この日も次々訪れる人々を大歓迎していました。
ここで暮らす約100匹のネコちゃんは、どのコも元気いっぱい!
みんな里親さんとの新たな出会いを待っています。
「ネコを飼いたいな」と思ったら、ぜひ訪れてみてください。
3才以上のコが多く、みんな不妊手術やウィルス検査も済んでいます。
お気に入りのネコちゃんがいたら、アンケート審査(飼育環境や家族の同意など)に協力して譲渡条件をクリアすれば、すぐに引き取ることができます。
また、「飼えない」ときは「絶対捨てずに、まずは相談してほしい」と中村さんは呼びかけます。
※ケルビムには、犬、猫それぞれの相談窓口もあります。
もともと猫好きで、里親になったりボランティア活動に興味を持っていた仲村さんが犬や猫の保護活動を本格的に始めたのは、沖縄に移住した直後の約20年前。
捨てられた仔犬の捕獲現場を目撃し、
殺処分の現実にショックを受けたことが
大きなきっかけになったそうです。
「なんどかしなければ!」という強い想いから一人で始めた活動を組織化し、多くの人の協力を得て動物病院や保護猫カフェ、シェルターの運営を実現。たくさんの小さな命が救われました。
特にこのアニマルガーデンは、農場やテレビ番組企画の後押しにより着工からわずか3ヶ月で完成した待望の施設。手狭になった既存のシェルターからの引越しが叶い、ワンちゃん達にもより快適な環境が提供されています。
ですが、これで一件落着というわけではありません。
動物を捨てる人が後を絶たず、
今なお保護活動は続いています。
ケルビム・アニマルガーデンは理想的な施設です。
こんな施設がもっと増えればいいのに…と、つい思ってしまいますが、でも、増えたらだめなんですよね。
現状ではもちろんこうした保護施設の存在は不可欠ですが、まずは人間が意識を変え、動物を捨てるという犯罪行為をゼロにする必要があります。そして、施設がなくても動物達の命が守られ、安心して暮らせるようになること。それが本当の理想なのだと思います。
一匹でも多くのにゃんこが一日でも早く優しい里親さんと出会えますように!
テキスト/伊藤玉緒(Write&)
写真/青塚博太
犬猫保護施設 ケルビム・アニマルガーデン
住所/沖縄県うるま市石川3355-1 うるま農場内ケルビム
TEL/090-9478-8152
一般公開/毎日14時~16時 ※見学無料
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